2006年11月04日
生きものの名前(その1)
生きもののカテゴリーが(0)のままなのが気になるので、
今日は生きもののお話を少し。
生きものの名前には実に色々なものがある。
表記の仕方もカタカナ、平がな、漢字、英語、はてはラテン語まで様々だが、
生き物屋の世界では実はちょっとした決まりごとがある。
簡単なことなのだが、知っていると生きものを見る目が少し変わって面白いのだ。
(○○屋は、登山愛好家は山屋、カヌーイストはカヌー屋みたいな感じの意味。
生き物屋にも、虫屋だの鳥屋だの、さらに細かくカミキリ屋だのチョウ屋だの色々いて、
そのキチガイ度をもってどこまでも分類することができる。さしずめ、渓流釣り師は、渓流屋もしくは鱒屋といったところだろうか。)
たとえば、鱒屋の永遠の恋人「ウグイ」を例にして話てみよう(あれ?w)。
珍しく主役
まずカタカナで表記する「ウグイ」。
これは標準和名と呼ばれるもので、日本国内で「ウグイ」を指す共通の名称として使われる。
図鑑や書籍等、様々な場面で使用頻度が最も高い名称といえよう。
標準和名は、生物の分類体系での種(species)、もしくは亜種(subspecies)に
相当するグループにつけられるので、カタカナで生物の名前を表記してある場合は、書き手(生き物屋)は分類学的な種もしくは亜種としての生物名ですよという意味を含ませているのだ。
「うぐい」や「鯎」と書くと、確かに音は標準和名と同じだが、生き物屋の世界は種としてのウグイとは扱わない。
こちらは文学的な表現だったり、子供に向けての表現というような文章上のTPOに合わせたもので、
生物学的なニュアンスは含んでいないものと受け取るのだ。
そのほか、ハエ、クキザッコ、アカハラ、イダ・・・等々、その土地土地で呼ばれている名前は
地方名と呼んで区別している。地方名の扱いは、平がなや漢字での表記と同様である。
きちんと種の区別をした上で生物の話をしたいときは、カタカナで表記した標準和名を使うとよい。
すると読み手の生き物屋は、「ふむふむ、エゾウグイやマルタのことじゃなくて、ウグイの話をしてるんだな。」と認識してくれるのだ。
よく標準和名のことを学名と混同している人がいるがそれは誤り。
標準和名は、生物種を指す日本国内での慣例的な名称に過ぎない。
学名については、そのうち記事にしようと思うので簡単に触れると、
学名には国際命名規約という世界基準があって、ラテン語で表記しなければならないという大前提がある。
(観葉植物や熱帯魚フリークなら、日常的に学名に触れている。
例えば蘭のシンビジウムとか羊歯のアジアンタムなどというのは属(種の一つ上の集団)の学名の音読みだったりする。熱帯魚にも、キフォティラピアだとかランプロローグスだとかナノストムスだとかカタカナのわけのわからない名前が使われているが、そのほとんどが学名を音読みしたものである。)
ウグイを学名で表記するとこうなる。
Tribolodon hakonensis (ラテン語でイタリック表記が原則)
こう書けば、どんな国の生き物屋だろうとは「ぉぉ、ウグイのことかー!」と対象の生物を取り違えることなく話を進めることができるのだ。
(なんとなく大したことなさそうだが、この命名法を考えた先人(リンネさん)の偉業は並々ならないものがある。なぜなら、とかく生き物は種類数が莫大なうえに名前がありすぎてどれがどれやら分からなくなりやすいからだ。
地方名で覚えている生き物について他県の人と話がかみ合わなかったなんてことは、誰しも経験することであろう。相手が外国の人となれば、これはもうお手上げ状態だ。)
さてさて、やたら長くなったので続きはそのうちに・・・。
たまにマトモなことを書こうとすると知恵熱がでるな・・・hhh
今日は生きもののお話を少し。
生きものの名前には実に色々なものがある。
表記の仕方もカタカナ、平がな、漢字、英語、はてはラテン語まで様々だが、
生き物屋の世界では実はちょっとした決まりごとがある。
簡単なことなのだが、知っていると生きものを見る目が少し変わって面白いのだ。
(○○屋は、登山愛好家は山屋、カヌーイストはカヌー屋みたいな感じの意味。
生き物屋にも、虫屋だの鳥屋だの、さらに細かくカミキリ屋だのチョウ屋だの色々いて、
そのキチガイ度をもってどこまでも分類することができる。さしずめ、渓流釣り師は、渓流屋もしくは鱒屋といったところだろうか。)
たとえば、鱒屋の永遠の恋人「ウグイ」を例にして話てみよう(あれ?w)。
珍しく主役
まずカタカナで表記する「ウグイ」。
これは標準和名と呼ばれるもので、日本国内で「ウグイ」を指す共通の名称として使われる。
図鑑や書籍等、様々な場面で使用頻度が最も高い名称といえよう。
標準和名は、生物の分類体系での種(species)、もしくは亜種(subspecies)に
相当するグループにつけられるので、カタカナで生物の名前を表記してある場合は、書き手(生き物屋)は分類学的な種もしくは亜種としての生物名ですよという意味を含ませているのだ。
「うぐい」や「鯎」と書くと、確かに音は標準和名と同じだが、生き物屋の世界は種としてのウグイとは扱わない。
こちらは文学的な表現だったり、子供に向けての表現というような文章上のTPOに合わせたもので、
生物学的なニュアンスは含んでいないものと受け取るのだ。
そのほか、ハエ、クキザッコ、アカハラ、イダ・・・等々、その土地土地で呼ばれている名前は
地方名と呼んで区別している。地方名の扱いは、平がなや漢字での表記と同様である。
きちんと種の区別をした上で生物の話をしたいときは、カタカナで表記した標準和名を使うとよい。
すると読み手の生き物屋は、「ふむふむ、エゾウグイやマルタのことじゃなくて、ウグイの話をしてるんだな。」と認識してくれるのだ。
よく標準和名のことを学名と混同している人がいるがそれは誤り。
標準和名は、生物種を指す日本国内での慣例的な名称に過ぎない。
学名については、そのうち記事にしようと思うので簡単に触れると、
学名には国際命名規約という世界基準があって、ラテン語で表記しなければならないという大前提がある。
(観葉植物や熱帯魚フリークなら、日常的に学名に触れている。
例えば蘭のシンビジウムとか羊歯のアジアンタムなどというのは属(種の一つ上の集団)の学名の音読みだったりする。熱帯魚にも、キフォティラピアだとかランプロローグスだとかナノストムスだとかカタカナのわけのわからない名前が使われているが、そのほとんどが学名を音読みしたものである。)
ウグイを学名で表記するとこうなる。
Tribolodon hakonensis (ラテン語でイタリック表記が原則)
こう書けば、どんな国の生き物屋だろうとは「ぉぉ、ウグイのことかー!」と対象の生物を取り違えることなく話を進めることができるのだ。
(なんとなく大したことなさそうだが、この命名法を考えた先人(リンネさん)の偉業は並々ならないものがある。なぜなら、とかく生き物は種類数が莫大なうえに名前がありすぎてどれがどれやら分からなくなりやすいからだ。
地方名で覚えている生き物について他県の人と話がかみ合わなかったなんてことは、誰しも経験することであろう。相手が外国の人となれば、これはもうお手上げ状態だ。)
さてさて、やたら長くなったので続きはそのうちに・・・。
たまにマトモなことを書こうとすると知恵熱がでるな・・・hhh
Posted by iwao at 11:02│Comments(5)
│生き物のお話
この記事へのコメント
いつもながらiwao博士の講義は為になりますねえ。
しかも学校の勉強とは違い、引き込む何かがそこにある!
『鱒屋の永遠の恋人「ウグイ」』はよかったです~(^◇^)/
しかも学校の勉強とは違い、引き込む何かがそこにある!
『鱒屋の永遠の恋人「ウグイ」』はよかったです~(^◇^)/
Posted by JTKN(のしろ) at 2006年11月04日 11:10
トリボロドン ハコネンシスと御呼びすればよいのでしょうか。
ウグイも学名で書くと100倍偉くなったように見えてしまいます。
伊豆の箱根と関係があるのかな?由来を調べるのも面白そうです。
ウグイも学名で書くと100倍偉くなったように見えてしまいます。
伊豆の箱根と関係があるのかな?由来を調べるのも面白そうです。
Posted by release-windknot at 2006年11月04日 20:19
こんばんは。
いやー、勉強になりますね。
確かに国内でもヤマメは北海道ではヤマベ。
ヤマベは関東じゃオイカワを指すんですよね。
いやー、勉強になりますね。
確かに国内でもヤマメは北海道ではヤマベ。
ヤマベは関東じゃオイカワを指すんですよね。
Posted by carrera930 at 2006年11月05日 00:08
私も勉強になりました。
他の渓流魚についても
聞きたいです。
他の渓流魚についても
聞きたいです。
Posted by RYU at 2006年11月05日 22:04
>JTKNさん
好評いただいたようで嬉しいです^^
またそのうち続きを書きますね~。
>release-windknotさん
そうです。なんか恐竜っぽいですよね。
っていうのも恐竜の名前も学名を音読みしてるからなんですな。
ちなみに、ラテン語の発音は欧米読みよりもカタカナ読みのほうが原語に近いらしいですよ。
>carrera930さん
地方名はあまりよく知らないんですが、「ヤマベ」はオイカワだったり、ヤマメのことだったりするようですね。
ちなみに私の田舎(兵庫の瀬戸内側)では、オイカワもウグイもカワムツも「ハエ」もしくは「ハエジャコ」、「ジャコ」でした。
>RYUさん
ありがとう、またそのうち続きを書きます^^
好評いただいたようで嬉しいです^^
またそのうち続きを書きますね~。
>release-windknotさん
そうです。なんか恐竜っぽいですよね。
っていうのも恐竜の名前も学名を音読みしてるからなんですな。
ちなみに、ラテン語の発音は欧米読みよりもカタカナ読みのほうが原語に近いらしいですよ。
>carrera930さん
地方名はあまりよく知らないんですが、「ヤマベ」はオイカワだったり、ヤマメのことだったりするようですね。
ちなみに私の田舎(兵庫の瀬戸内側)では、オイカワもウグイもカワムツも「ハエ」もしくは「ハエジャコ」、「ジャコ」でした。
>RYUさん
ありがとう、またそのうち続きを書きます^^
Posted by 管理人 at 2006年11月06日 18:04
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